たそがれ木曾人・道草日記

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zoom RSS 「森林レクリエーション」への寄稿

<<   作成日時 : 2015/06/03 07:14   >>

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 私は、良いご縁をいただいて一般社団法人全国森林レクリエーション協会の理事の職を拝命している。就任依頼をいただいた折には、微力な私に務まるのかと疑問もあったが理事長以下役員各位にご指導を賜りお付き合いをさせていただき感謝である。
 およそ二か月ほど前には、当協会の機関誌「森林レクリエーション」への寄稿の依頼をいただき、我が町の紹介をさせていただく絶好の機会と思い、文才の乏しい頭で原稿を書かせていただいた。
 文字数は、およそ5,000字と写真も紙面の範囲内で掲載可能とのありがたい話に感謝しながら、期限内には何とか書きあがり提出させていただいた。
 昨日、2015年6月号(写真)が送られてきたので、確認してみると「わがまち」として記事が掲載されていて安堵した。このような機会を与えてくださった関係者に感謝を申し上げます。
 同機関誌に触れる機会がありましたら一読いただければ幸いであります。
 さて、現在長野県木曽地域は木曽御嶽山噴火災害後の復興と地域経済復興のためにも観光事業の立て直しが喫緊の課題として取り組んでいます。
 火山の状況も、山頂付近で水蒸気が上がっているものの、火山状況は落ち着いてきており警戒区域も縮小されつつありますので、どうか安心して森林資源や自然の豊富な木曽地域にもお出かけいただきますようお願いいたします。

(一社)全国森林レクリエーション協会機関誌
「わがまち」原稿
木曽ひのきの里で活き活き健康長寿の郷づくり

○上松町の概要
 上松町は、長野県の南西部にある木曽郡のほぼ中央部に位置し、総面積168.42㎢で、全面積の約94%が森林であり、そのうち69%を国有林が占めています。
 耕地や宅地は、わずか3%しかなく標高550m〜1,100mに住居が点在している山間地域であります。
 人口は、昭和40年の10,083人をピークに減少が続いており、平成27年4月1日現在の人口は4,902人と、過疎化に歯止めがかからず厳しい状況にあります。
 国有林を中心に木曽ヒノキの産地として、伝統的建造物などに広く利用されて参りました。
 近年では、平成26年10月に催行された第62回伊勢神宮式年遷宮の御用材が、平成17年6月3日の御杣始祭を皮切りに当町の赤沢国有林から搬出されたところであり、良質で貴重な天然木曽ヒノキが使われています。
 特に御杣始祭においては、神宮の内宮(天照大神)と外宮(豊受大神宮)のご神体をお納めする御神木を伝統的伐木法である「三ツ紐伐り」により、杣人が斧を用いて樹齢300年以上の天然木曽ヒノキを交差させて寝かせる儀式は、神宮の伝統文化と匠の伝統技術が融合した実に荘厳な催事であります。
 このことは地域の誇りでもあり、今後も良質な木曽ヒノキの保護育成に微力ながら尽くしてまいりたいと存じます。
 さて、当町は古くから中山道沿いの木曽11宿の宿場町でもあり、「木曽八景」の中の「寝覚の床」「小野の滝」「駒ヶ岳の夕焼」「風越の青嵐」「木曽の桟」の五景があると共に、森林浴発祥の地であり森林セラピー基地に認定されている「赤沢自然休養林」があり、毎年13万人以上のお客様に来訪いただいています。

○自然災害からの再出発
 しかし、昨年7月9日発生の南木曽町土石流災害並びに9月27日発生の木曽御嶽山噴火災害により、尊い人命が失われると同時に多くの負傷者が発生する悲しい出来事がありました。
 突如の災害により命を失われた御霊のご冥福を祈ると共に、被災者に心よりお見舞いを申し上げる次第であります。
 被災地においては、復興と防災安全対策に全力で取り組んでいるところであり、御嶽山の噴火による警戒レベルも一部見直しがなされ火山噴火警戒区域が一定範囲に縮小される見通しであります。
雪解け後に再開される捜索により、行方不明者全員が発見されご家族のもとに戻られることを祈ると共に、何よりも安全第一に徹した情報連絡体制と、被災施設の復旧・復興に取り組むことが重要と考えます。
なお、木曽御嶽山と中央アルプス木曽駒ヶ岳など数多くの景勝地があり、古来は木材運搬に重責を果たした木曽川が伊勢湾に向かって流れており、森林文化が育まれてきた地域であります。
現在、木曽地域は昨年の自然災害からの復興に全力で取り組んでいますので、事情をご理解いただき少しでも多くの観光客が来訪されますようお待ち申し上げております。

○森林浴・森林セラピーと森林鉄道
 当町の最西端の国有林内には、日本三大美林の一つでもあり天然木曽ヒノキの美林として知られている「赤沢自然休養林」があります。
休養林の面積は、約728ha、標高は1,080〜1,558mにあり、「林木遺伝資源保存林」「植物群落保護林」にも指定され保護されています。
 昭和44年には日本最初の自然休養林に指定され、昭和57年には第1回森林浴大会が開催され「森林浴発祥の地」となりました。
そして、昭和62年には「森林鉄道」を園地内の軌道敷約1、1キロメートルを走らすことが実現して以来、4月下旬より11月上旬までの休養林開園期間中には、ディーゼル機関車がお客様を客車に乗せて木曽ヒノキ林とせせらぎの旅へと誘導して、季節ごとに移り変わる森の世界を楽しませてくれます。(写真1;赤沢森林鉄道)
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また、春と秋の2回開催される「森林浴大会」には、人数限定にはなりますが休養林内の保護区域となっている「奥千本」や「千本立」と称する天然木曽ヒノキの群生地へと案内してくれますので、幻想的な森林を満喫いただければ幸いであります。(写真2;赤沢森林浴)
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なお、昭和58年には「21世紀に残したい自然100選」、平成13年には環境省「かおり風景100選」に、そして平成18年には「森林セラピー基地」に認定されるなど、我が国を代表する国有林の数々の称号を受けていることも地域の誇りでもあります。
 さて、木曽森林鉄道は大正5年に導入されて以来、昭和50年廃止されるまでの間、木曽ヒノキを中心とした国有林材の搬出運搬事業を担い木曽地域の経済をけん引する大きな役割を担ってきました。
 木曽地域の各地には、森林鉄道軌道敷き跡や鉄橋等の遺構が残されていることや、ボールドウィン蒸気機関車やディーゼル機関車などの貴重な遺産が保存されていることから、日本森林学会により2013年度林業遺産の認定を受ける栄誉を賜りました。
 そして2014年度には、ボールドウィン蒸気機関車100周年を祝うイベントを開催すると共に、木曽森林鉄道の歴史を顧みながら貴重な資源の保存と地域振興につなげるステップに夢を抱いております。

○木曽悠久の森保存の取組
 木曽地域の森林面積は145千haを有し、その内国有林は約90千haと約62%を占めており、過去には国有林材を大量に伐採してきた歴史があります。
 平成25年度からは一般会計化されたことから、国有林施業計画も転換期を迎え、伐期を迎えている人工林の搬出間伐を主体に、貴重な森林資源の保護育成にも力を入れる方向に変わってきました。
 特に木曽地域の国有林とそこに隣接する岐阜県中津川市の裏木曽国有林には、貴重な温帯性針葉樹林が残されており将来に向けてその保存・育成のための施業について、林野庁中部森林管理局では森林林業に造詣の深い専門家を交えた検討組織として「木曽悠久の森管理委員会」を立ち上げ、第一次提言をまとめると共に本年も協議検討を進めることになっています。

○木曽川と山岳風景が魅力
 国道19号を名古屋市方面から約120q北上すると、小野の滝、寝覚の床、木曽の桟といった木曽川の水流が長年にわたり形成した景勝地が楽しめます。
 浦島太郎伝説が伝わる寝覚の床は、昭和26年に木曽駒ヶ岳と共に「中央アルプス県立自然公園」に指定され「国指定の名勝」にもなっています。
その姿は雄大な自然が形成した庭園とも言われ、深い水流、花崗岩質の巨石群、季節ごとに変わる装い、そして再建された浦島堂を擁する風景は見るものを魅了します。
 また交通の難所と言われた「木曽の桟」は、旧中山道に架設された「桟の遺構」に始まり、県道「上松南木曽線」に架設された「木のかけはし」そして近年国道19号に架設された「かけはし大橋」と「あげまつ大橋」の近代技術を駆使した橋など、橋梁に関わる土木技術の推移を実感できる貴重な場所でもあります。
 近年は、歴史文化をたどる「中山道ウォーキング」などを楽しむお客様が増えていますが、木曽川を臨む街道筋から古来より交通の難所とうたわれた木曽川と橋の歴史に、歩みを止めて眺望を楽しまれてはいかがでしょうか。

○町営ねざめホテルが新装オープン
 木曽地域に来訪いただくお客様の宿泊施設として、寝覚の床付近に「ねざめホテル」を指定管理者制度により運営しております。
 当ホテルは、建物の老朽化に伴い平成26年度に耐震大規模改修事業に着手して、本年6月22日より新装オープンいたします。
別館は、全面改築したほか本館についても内装を全面改修し、木曽ひのきの里にふさわしく随所にひのき材を使用した木のぬくもりを実感いただけるホテルになりました。
本館の延べ床面積は1,553uで、ホール、大広間、食堂、厨房、大浴場及び客室(和室11部屋)をリニューアルしました。
また、全面改築した別館は517uでツイン洋室14部屋(バストイレ付)と20畳和室1室などを備えたホテルとなりました。
東側には中央アルプス木曽駒ヶ岳を、西側には寝覚の床を臨む景色を楽しみながら、ご利用いただければ幸いであります。
また隣接地には、町営マレットゴルフ場も整備いたしましたので、自然景観を楽しみながらくつろぎ、プレー終了後にはホテルのトロン温泉とお食事休憩をご利用いただければ幸甚と存じます。

○特産品開発センターも奮闘
 上松町特産品開発センター利用組合が、平成12年に設立され今日まで活発に生産販売活動を展開しています。
 地域食材を使った特産品として、ほお葉巻き、杵つき餅、エゴマ入り五平餅、エゴマ油、ふき味噌、梅漬け、赤カブ漬け、味噌及び米粉饅頭など数多くの特産品生産に携わり、観光土産や各種イベントの出店などに組合員一丸となって元気に活躍しています。
 本年2月には、県営中山間総合整備事業により木造、瓦葺、平屋建て延べ床面積約250uの「みそ加工センター」を新築して、田舎風味噌加工生産に本格的に取り組んでいます。
 地元産大豆を用いて、昔懐かしい味噌を仕込み、温度調節が可能な施設において美味しく熟成した味噌が出来上がるものと期待しております。
 また、最近はエゴマ油が、認知症に効果があるという専門家の評価もあり、申し込みの電話が殺到して品切れとなってしまう事態も生じました。
今後は、町内の遊休農地の解消や鳥獣被害の少ないエゴマへの転換を図るなど増産対策に取り組み、エゴマ油の生産拡充にも努めたいと考えております。

○良質な木材と匠の技が本物を製作
 当町は、古くから木曽ひのきを中心とする木材木工業が盛んな地域であり、木材生産や加工に携わる優秀な技術を有する匠が暮らしています。
 近年は、大量生産品に押されて関係業界も苦戦を強いられ、卓越した技術の匠が高齢化し先行き不安も否めません。
 しかし、国宝や文化財級の伝統的建造物を支える良質なひのき材などの生産加工や、サワラやネズコなどの木材特性を活かした桶製品や網代細工、ケヤキやクルミ、ナラなどの広葉樹を加工した手作り家具製品など、木曽地方で育った樹木の加工品は、気品と風格と耐久性に優れた特徴があり、本物志向の需要拡大につながれば幸甚と存じます。
 なお、当町には昭和20年に開校した歴史のある長野県上松技術専門校があり、現在は木工科と木材造形科を合わせて定員40人が全国各地から入校され、1学年の研修課程に取り組み技術修得に励み、修了後は各地域で活躍されています。
 毎年3月上旬に開催される上松技術専門校「ひのきの里の技能祭」には、丹精込めて創作した木工作品が展示され、材料代相当の安価で購入できるとあって応募者が殺到する盛況ぶりです。
 地域の自然の中で育った樹木の威厳に感謝し、木材の特性を最大限に活かして、匠による手作りの本物が重宝される社会になることを願う次第です。

○小さな町から大相撲力士誕生
 少子高齢化社会が話題となる昨今でありますが、小さな町でも相撲、サッカーや野球などの青少年スポーツは熱心な指導者の下で育っています。
 当町出身者で、少年時代から相撲に取り組み東洋大学相撲部4年生の時に、学生横綱とアマチュア横綱の2冠を達成し、大相撲の出羽海部屋に入門して本年3月の春場所に幕下10枚目付け出しでデビューを果たした御嶽海(本名;大道久司君)が、初めての場所で6勝1敗の好成績を上げたことは地域にとって明るい希望の持てる話題として衆目を集めています。
 来場所の成績によっては、十両への昇進が期待される重要な時期を迎えており、木曽地域はもとより長野県から久しぶりの関取誕生が期待されていますので、御嶽海の頑張りを願いつつ応援しながら、この記事が掲載される頃には朗報が聞かれるよう熱い期待を抱いております。
 中山間地域の小さな町で健やかに育った相撲少年が、角界において大きなけがもなく着実に精進されることを地域挙げて応援させていただくと共に、全国各地の皆様にも力強い応援をお願いする次第です。

○終わりに
 中山間地域は、景気回復への道は大変に厳しく過疎化と少子高齢化の進行を止める困難さと向き合いながら模索していますが、「まち・ひと・しごと創生法」に基づく人口ビジョンと総合戦略策定に住民と共に英知を絞らなくてはならないと決意を新たにしています。
 幸いこの地域には、豊富な森林資源が潜在し自然景観に恵まれた日本の原風景と観光資源があることに敬愛の念をもって、観光客や交流人口の増勢に努め、田舎暮らしを希望される皆様が定住できる環境づくりにさらなる努力を重ねて、「木曽ひのき里で 自然と共に 活き活き健康長寿の郷づくり」を目指してまいる所存であります。
 結びに、本機関誌に寄稿の機会を与えていただきましたことに心より厚く御礼を申し上げ、協会発展と関係各位のご隆盛をお祈りいたします。

   平成27年4月  長野県木曽郡上松町長


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